あいぼん

ぼくたちが思っていたよりも、ずっと彼女の心の闇は深かったということだ。
いま、たった一つだけ彼女に対しての要求があるとすれば、それは、幸せになることだけはあきらめないでほしい、ということ。このまま彼女が人生の闇に落ちていくのだけは耐えられない。
10数年後に、彼女がごく普通の小さな町のごく普通の幼稚園の運動会でごく普通のちょっとかわいいお母さんとして、とってもかわいい自分の子供を笑顔で応援していますように。
今回もまた、ぼくは祈ることしかできないけれど、でもいつまでも彼女のことを忘れずに祈り続けることだけはしていこうと思う。