はり重

ペペロンチーヌさんのおすすめにより、道頓堀「はり重」にて、カレーライスをいただく。普通はカツカレーをオーダーするのだが、しっかりとルーを味わいたいので、あえてシンプルなカレーライス600円を注文。店内は大正ロマンな渋さでありながらきれいに磨きぬかれ、古さを感じさせない。どこか銀座の洋食の名店「煉瓦亭」をおもわせる。煉瓦亭はおいらのフェイバリットなので、これはまずいものが出てくるはずもないことを、この時点で確信。
まもなく出て来たカレーは、なつかしい横長で深さのあるカレー皿になみなみとルーをたたえていた。食べ進むほどに感じたのだが、そのルー比率の高さ。かなりたっぷりとご飯と混ぜていただいても、ルーがあまるあまる。ちょっと東京のカレー屋では考えられないこと。まず、ビックリ。
見た目はややゆるめではあるもののそれ程色の濃くない、オーソドックスな日本的カレー。形が確認できる具は肉のみ。この肉が(たぶんスジ肉)うまい。カレーの中でとろけるかというほどに柔らかく煮込まれているにもかかわらず、肉としての香りと旨味をしっかりと主張してくる。さすが高級すき焼や。いい肉使ってんだろうなあ。肝心のルーはインパクトは見た目のとおりマイルドで優しい味で強く主張するところはないが、しっかりと味はある感じ。これは揚げ物がトッピングされてても、全体としての味がぼやけずに最後までいただけるだろうな。しかし、食べ進んで行くにしたがって、るーのコクに隠れていたスパイスが身体の中で主張を始める。舌の上じゃなくて口内全体と胃を中心とした体内がカレーを食べた満足感で満たされるというイメージだろうか。
レジでの会計時に、東京からきたこと、友達にすすめられたこと、なによりも美味しかったことを告げると、マダム(おかみさんというには品がよすぎる)は「ニッコリとほほ笑んで「わざわざありがとうございます。また、お立ち寄りください。」というような内容をすてきな大阪弁でいってくれた。気分のよい昼食、夕方に控えている商談も頑張れそうだ。