また、食物の話、角萬の「ニクダイ」

http://tokyo.gourmet.livedoor.com/restaurant/info/4901.html
先日、食い物にひと薀蓄ある上司につれられて、角萬という、そこそこそばを食べ歩いたおいらとしては、ノーチェックだった蕎麦屋にいってまいりました。
有無を言わさず上司に「肉南蛮大盛り」通称「ニクダイ」をたのまれまして、始めていった蕎麦屋ではそば通の流儀として「もり」もしくは「大もり」を食べる私としましては少々「??」だったのですが、この上司のそば好きには一目置いておりましたので、甘んじてその挑戦を受けることにいたしました。(冷たいそばである「ヒヤニクダイ」がこの店のスタンダードであるというのは後から知りましたが、今回食べたのは暖かいものでした。)
で、出てきたのがこれ
(画像はライブドアグルメより拝借いたしました。)
おいおい、なんだこりゃ、うどんだろ、どうみても!! しかし、食べてみるとこれが、美味い美味い。
そばはこの太さでありながらよいそば特有の凛としたキレがあり、程よい弾力で口の中ではじける。もちろんそばの香りは充分。太いそばというといわゆる色の濃い田舎そばを連想するが、角萬のそばは通常の田舎そばのように色が濃くはない。田舎そば特有のそば粉の皮までを粗挽きにして作ったそばなのではなく、そばの中心のよい部分を丁寧に挽いて、しっかりと練ったそばなのがその色合いと香りでわかる。汁は、かつぶしの味と香りが強く主張するタイプではなく、多分、かつぶしでとったダシでつくった汁で、具の豚肉と葱を煮たものが上からぶっかけてあるのであろうが、かつぶしの旨みと豚肉の旨みと葱の旨みが渾然一体となったその汁は、主張が強い訳ではないのにあのぶっといそばに決して負けない深みのある味。見事。
眉間にしわを寄せながらそば通を気取って食べるものばかりがそばにあらず。丼を抱えながら、わしわしとかっ込むそばの楽しみがこの世になるなんて!! 新たな因果地平をみたある日の午後でした。