蕎麦処 はせ川

神田駅西口の近くに最近できた、こだわり系の立ち食い蕎麦や。入口近くに「当店は立ち食い蕎麦やですが、ゆずれないことがあります。云々」の看板。物々しいね。
入口近くの券売機で食券を買う。一般的な立ち食い蕎麦やメニューである「天そば」(←かき揚げそばの意)の表記がない。かき揚げ系は、春菊天そば、ごぼう天そば、野菜天そば、ぷりぷりえび入りかき揚げそばの四点。購入した野菜天は390円。一般的な立ち食い蕎麦やの価格350円前後からすると、かなり高価だ。
店内にはいると和紙筆でおすすめメニューが書いてあったり、こだわりの内容が書いてあったりするのだが、何となく雑然としており、ジャンルを問わずうまい店特有の凛とした緊張感がない。店が新しいのにこれはいただけない。やや不安になりながら、店内に貼ってあるこだわりを確認してみる。
そばは毎日信州から取り寄せているそば粉比率の高いものらしい。健康を考えての無化調。つゆは自家製。なるほど。
でてきたそばの量はやや少なめ。つゆは澄んでいて、ダシの香りもある。のっている葱も実に細かく好印象。そばを手繰れば、確かにそば粉の風味は強いし、そこそこのコシもある。つゆを飲んでみると、甘みを抑えながらも薄っぺらくならない実にまっとうな味。
…しかし、かき揚げが悪かった。野菜の切り方、小麦粉との比率、混ぜ具合、揚げまで、基本はしっかりおさえてはいるのだが、いかんせん時間が経ちすぎている。よって、かき揚げに含まれた油が完全に酸化してしまっている。しかも、くどいごま油を使っているのだからタチが悪い。時間が経ちかき揚げが柔らかくなり油が溶け出すと、もう駄目だ。見れば夕方の六時前という時間帯にもかかわらず、カウンターには作り置きのかき揚げがバット2枚分も。昼前ならともかく、明日の分まで用意してるのではないかと疑ってしまった。
健康のため無化調にこだわる店主は、酸化した油がどれだけ身体によくないのか知らないのだろうか。